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松本の遺跡発掘成果展示へ 考古博物館で8日から

速報展に展示される須恵器の円面硯と、食器用と見られるふた

 松本市立考古博物館(中山)で8日、本年度に市内遺跡で行われた発掘調査の速報展「発掘された松本2024」が始まる。出土物約60点が展示され、中でも昨年末、同市島内山田から安曇野市方面にかけて広がる遺跡「北部古窯址群」から出土した須恵器の「円面硯」が目玉の一つだ。

 市内の窯跡の調査は珍しく、須恵器を焼いた窯で、僧侶や役人が使う文房具を作っていたことが裏付けられる出土品という。円面硯は台座の付いた丸いすずりで、直径13センチ、高さ3.5センチ。台座には透かしと縦棒の模様が入る。
 松本市教育委員会文化財課によると、奈良時代から平安時代のものと推測される古窯址群内で見つかった、須恵器を作る登り窯周辺で、昨年末に出土した。墨をする部分と墨汁がたまる部分の高低差がなく、不良品とみられる。製品として流通せずに破棄されたと考えられる。
 当時の食器の一種・坏の上にかぶせる須恵器のふたも一緒に出土した。直径15センチほどで、本来なら平べったいものが、波打つようにゆがんでしまっている。同課の埋蔵文化財担当・澤柳秀利さんは「今後、ほかに出てきたかけらの出土品も調べると、何を作っていたかの全容が分かるかもしれない」と話す。
 展示は3月30日まで。午前9時~午後5時だが2月中は土日・祝日のみ開館する。3月は月曜休館。入場料200円(中学生以下無料)。2月9日午後1時から、あがたの森文化会館(県3)で発掘報告会がある。問い合わせは考古博物館(電話0263・86・4710)へ。