政治・経済

食の情報をピクトグラムで 松本市が訪日客増加で作成へ

松本城を観光する外国人客。インバウンドの増加でベジタリアンやムスリムも増えている

 訪日外国人(インバウンド)の増加に伴ってベジタリアン(菜食主義者)や豚肉などを食べないムスリム(イスラム教徒)の人たちが増えていることを受け、松本市は本年度、市内の飲食店や宿泊施設が、食べられない物が入っているかどうかメニュー表などで確認できる松本版のピクトグラム(絵文字)を作成する。文化や宗教による食習慣に対応した受け入れ環境を整備して、さらなる誘客につなげる。

 市内の令和5年の外国人宿泊者数は約23万人に上る。国籍などから推計すると、このうちベジタリアンが1万人超、ムスリムが2万人弱とみられる。近年増加傾向にあり、昨年は松本商工会議所が食の多様性に関するセミナーを開くなど受け入れ側の関心も高まっている。
 ただ同じベジタリアン、ムスリムでも人によって食べるものが違い、対応に苦慮する飲食店は少なくない。菜食だが卵と乳はOKという人もいれば、ハチミツすらもだめという人もいて、個々に応じたきめ細かい対応が求められる。絵で表示して客自ら判断できるようにすれば、スムーズな接客の一助になる。
 ピクトグラム作成の前には、飲食店向けのセミナーや相談会も開いて受け入れ側の知識を深めてもらう。出来上がったピクトグラムを実際にメニューに反映させた店は、インターネット上の地図に落とし込んでPRしていく。市は本年度当初予算に業務委託費2461万円を盛っている。
 市観光ブランド課の勝山裕美課長は「市として初めての取り組み。受け入れ態勢を整備してより多くのインバウンドを呼び込みたい」と話している。