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木祖の伝統工芸品・お六櫛 訪日外国人観光客に人気

のこぎりを巧みに操り、櫛の歯を繊細に削り出していく柳川さんの実演を見学する訪日外国人(木祖村郷土館)

 江戸時代から木祖村薮原に伝わる工芸品「お六櫛」が近年、旧中山道を訪れる訪日外国人観光客の注目を集めている。そんな需要も追い風に、櫛作りの職人らによる製作実演会が、春の大型連休と今月の日曜日、薮原宿の街道筋にある古民家で開かれる。

 村お六櫛組合の副組合長(伝統保存部会担当)の柳川浩司さん(69)は「昨年度の実演・体験者の半数近くを外国人が占める。関心の高まりは間違いない」と話す。右肩上がりの訪日客のために、木曽に息づく木の文化や櫛に使う木の性質などをストーリー仕立てで説明したり、椅子に座って作業ができる環境を整えたりと試行錯誤を続けている。
 柳川さんは、任意団体木曽路ウォークガイド会の代表も務める。宿泊・旅行業関係者への地道な"売り込み"も成果に結びついているようで「現地の歴史文化を体感できる手軽さが浸透し始めている」とみている。
 実演・体験は中山道を歩く国内外からの旅人に限らず、木曽郡内外の誰でも参加できる。3、5、6日と、11、18、25日の午前8時半~正午に行う。手作り体験(要予約)はサンドペーパーで櫛を磨いて仕上げる工程を職人が指導する。料金は3500円で所要時間は40~45分。櫛の大きさや形、歯の細かさなどを選ぶことができ、ケースに入れて持ち帰る。「伝統技術の裾野を広げる担い手になってほしい」との願いを込め、郡内在住者は特別価格で体験ができる。
 予約・問い合わせは柳川さん(電話080・1046・7291)へ。