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社会の価値観変化語る 信大特任教授の山口真由さん タイムス広告会の講演会で

価値観の変化について話す山口さん

 中信地方の有力企業でつくるタイムス広告会(永瀬完治会長)は4日、松本市本庄1のホテルブエナビスタで新春特別講演会を開いた。信州大学社会基盤研究所特任教授で、コメンテーターとして多くのテレビ番組に出演する山口真由さんが「岐路に立つ日本」と題し、価値観の変化や社会の対応などをたどりながら、日本がこれから進むべき方向性について話した。
 約800人が熱心に耳を傾けた。山口さんは、日本の会社などは伝統的に組織の論理を優先しつつ社員を手厚く保護する「家族型の組織」だった一方で、幼い頃からインターネットやスマートフォンに親しむ若年世代は「個の視点」を重視する現状を紹介した。
 あらゆる人を差別せず不快感を与えない表現が浸透しつつある中で、世代による価値観の違いから配慮不足と捉えられることもある年配者の発言まで攻撃する風潮に、「全ての人を優しく包み込むはずの多様性という考えが、はみ出す人を切り捨てる武器になっている」と指摘した。「誰かを傷つけたくない人が口を閉ざし、極端な人だけが残るという状況が日本の行き着く先だと思いたくない」と力を込めた。