「昔懐かし厚紙の切符」硬券乗車券 上高地線で廃止へ

アルピコ交通(松本市)上高地線で長年使われてきた、昔懐かしい厚紙の切符「硬券乗車券」が2月末で廃止されることになった。新村駅と森口駅、北新駅で販売されている硬券乗車券は、市民が日常利用で購入するだけでなく、鉄道マニアが記念に買い求めることもある。多くの鉄道会社は自動改札に対応した切符に変わっていて、上高地線の硬券乗車券は全国的にも貴重な存在だが、残り1カ月ほどで販売は終わる。
上高地線(松本―新島々間、14.4キロ)の14駅のうち、硬券乗車券は新村、森口、北新の3駅で取り扱っている。新しい乗車券発券システムの導入に伴い、硬券などは廃止され、感熱紙タイプに変更されることになった。
新村駅で切符を販売している駅員の百瀬一美さんは「鉄道好きの方が目的駅ごとの硬券乗車券をすべて買い求めることもあった」と振り返る。新村駅をよく利用する松本大学4年の竹内凌さん(22)は「昔ながらの味のある形の切符がなくなるのは寂しい」と話した。
硬券取り扱いの3駅では3月1日から、タブレット端末とプリンターを使った乗車券発券システムになる。同社鉄道事業部は「コストを削減し、維持管理費を抑えることで、路線の安定運営につながるのでご理解を」と願っている。
新島々駅などで販売されている入場券は当分の間、硬券がそのまま使われる。
上高地線は大正10(1921)年に開業した。松本市西部地域の住民の足としてだけでなく、山岳景勝地・上高地など北アルプス南部の観光地や登山口へのアクセス手段として1日5000人前後、年間で約170万人が利用している。