妻籠を愛する会 前理事長の故小林俊彦さんしのぶ 妻籠宿町並み保存に人生捧げる

南木曽町吾妻の妻籠宿の町並み保存に取り組む住民組織「妻籠を愛する会」の前理事長・故小林俊彦さんをしのぶ会が1日、妻籠町並み交流センターで開かれた。旧中山道の宿場情緒を残す妻籠を、過疎化が進む地域から国内外に知られる名所に変える活動の中心にいた小林さんの功績を識者らが振り返り、町並み保存の今後へ決意を新たにした。
妻籠宿は昭和43(1968)年に保存事業が始まり、愛する会もこのとき発足した。町職員だった小林さんは、高度経済成長期で開発が各地で進む中、古い町並みを残す重要さを地域や関係者に訴えて回った。平成18(2006)年から6期12年、同会理事長を務めるなどし、昨年11月に95歳で亡くなった。
会には住民など約60人が参加し、交流があった県内外の研究者ら6人から話を聞いた。
笹本正治・県立歴史館特別館長は「地域があって国がある」と、地方独自の生活、文化を守る意義を強調。この視点にいち早く気付いた小林さんを「人生の師」と表現した。上野邦一・奈良女子大学名誉教授は、全国に先駆けて行われた町並み保存における小林さんの功績をたたえつつ「地域全体で成し遂げたこと。住民が自覚と誇りを持つことが今後にとっても大事では」と指摘した。
しのぶ会は、妻籠を愛する会が毎年開催する教養講座「妻籠冬期大学講座」の第47回として開いた。同会の藤原義則理事長は「『継続が大事』という(小林さんの)思いを胸に、妻籠の保存に取り組み続けていきたい」と話した。