子供が数珠回し「ナンマイダ」 松本の島立荒井で八日念仏

松本市島立の荒井で1日、伝統行事の「八日念仏」が行われた。地区内の子供たちが家々を回り、一年間の無病息災を願いながら巨大な数珠を回す年中行事で「ナンマイダ、ナンマイダ」と唱える声が響き渡った。
荒井公民館に集まって町会役員から由来を聞いた後、午前は小学1~5年生の9人が地区南部の約30軒を訪ね歩いた。「おはようございます。八日念仏に来ました!」と玄関先で声を掛けて住人も輪に加えると、5年生がたたくかねの音に合わせて「ナンマイダ、ナンマイダ」と数珠を回した。児童を迎えた女性(76)は「子供が大勢で来てくれると元気になる」と笑顔を見せた。島立小5年の大久保綾杜君(11)は「毎年参加している。地域のみんなが病気にかからず、健康に暮らせるように」と願っていた。
江戸時代末期に一帯で伝染病が広がった折、土地を訪れた高僧が数珠を授けたのが始まりとされる。当初はお年寄りの念仏講だったというが、明治時代に男子の行事となり、現在は子供の行事として継承される。
訪問先の家庭で「なおらい」として受け取った寄付は、年度末に開く「6年生を送る会」と「1年生を迎える会」に充て、絆を深めながら行事を伝承した先輩への感謝や、新たに仲間に加わる児童の歓迎に役立てている。