地域の話題

真冬の聖湖に留学生転落 4人の連携プレーで無事救助

受け取った感謝状を手に記念写真に写る(前列右から2人目から順に)宮川さん、中嶋さん、佐藤さん

 麻績村聖高原の聖湖で昨年末に発生した水難事故で人命救助・救急救護に当たった男女4人に28日、松本広域消防局が感謝状を贈った。麻績消防署で贈呈式があり、降幡明生局長が現場での迅速な対応と連携に感謝し、賞状を手渡した。

 事故は昨年12月28日午後2時半ころ、県内の大学に通う留学生の男性(22)が聖湖畔南東側の桟橋から誤って湖に転落した。現場から約160メートル離れた聖高原観光案内センターに居合わせた麻績郵便局員の宮川康太さん(35)=麻績村=とJA松本ハイランド聖南スタンド川手筑北配送センターの中嶋正吾さん(65)=松本市中川、村観光課職員の佐藤克哉さん(29)=麻績村=の3人が男性を湖面から救出。観光案内センターにいた聖高原リゾート職員の北嶋みどりさん(60)=筑北村坂井=が保温処置をした。男性は意識があり、命に別条はなかった。
 桟橋は冬季立ち入り禁止で、当時約30センチの積雪があり、湖面も結氷していた。郵便物を回収中だった宮川さんが男性の「助けて」という声に気付き、近くで灯油配達中の中嶋さんと屋内勤務中の佐藤さんに協力を求めた。男性を見つけた中嶋さんは湖岸に張り巡らされた「立ち入り禁止」注意ロープをほどいて駆け付け、男性に引っ掛けて3人で引き上げた。北嶋さんも毛布・ストーブを準備し、男性を温めた。
 贈呈式には北嶋さんを除く3人が出席した。宮川さんと佐藤さんは「中嶋さんのリーダーシップに助けられた」と話す。中嶋さんは「(給油音でかき消され)宮川さんがいなければ男性の声に気付くことはできなかった。自分は当たり前のことをやっただけ」と語り「約30年前に青年海外協力隊員だった親戚を水難事故で亡くした。海外の親御さんが悲しい思いをせずに済んでよかった」とほほ笑んだ。