地域の話題

情報誌「木曽人」10年目 年4回 活性化、防災へ発信続ける

木曽人のバックナンバーと、創刊以降の思い出を振り返る小林さん

 木曽地方の魅力を発信するフリーペーパー「木曽人」が、平成28(2016)年4月の創刊から今年で10年目に入る。地域活性化を目指す一般社団法人木曽人(上松町)が発行してきた。木曽で暮らす人、木曽と関わりを持つ地域外の人らを「木曽人」として見つめ、故郷が元気であり続けるように―との願いを込めて誌面を作り続けている。

 木曽人はA5判フルカラーで30㌻ほど。2、5、8、11の各月に約1万部を発行し、郡内の役場や道の駅、学校などに配布している。
 木曽人代表の小林夏樹さん(63)=木曽町新開=が基本的に一人で取材し、撮影と記事執筆を担当する。その時々の地域の話題やイベント、活躍中の人などを取り上げ、毎回約50~60人の地域の人たちの写真が並ぶのが特徴だ。最新の41号では、開設50周年を迎えた東京大学木曽観測所(木曽町三岳)、木祖村の絵本作家・はらきょうこさんなどを取り上げた。
 毎年秋になると必ず掲載するのが、死者・行方不明者63人を出した平成26年9月の御嶽山噴火災害の追悼式で語られる遺族代表の言葉だ。「その思いをしっかり伝えたい」(小林さん)と、必ず全文を載せている。
 小林さんは、木曽地域が御嶽噴火や梨子沢土石流(南木曽町)と自然災害に相次いで見舞われ、地域の先行きに危機感を覚えていた創刊当時を振り返る。新型コロナウイルス禍での取材や誌面作りも経験し、「さまざまな困難に木曽の人たちは対処してきた。『人』の強さを、これからも伝えていきたい」と話している。