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塩尻市内の県立高校再編 新校の中高一貫案を提言 副市長の石坂氏、懇話会の一員として発言

ワークショップの内容を報告する生徒

 塩尻市の塩尻志学館高校(総合学科)と田川高校(普通科)を再編統合して設ける塩尻総合学科新校(仮称)の再編実施計画懇話会が28日、塩尻市役所であり、参加している塩尻市の石坂健一副市長が、一人の構成員の考えだと断った上で、新校を中高一貫校とする選択肢を提言した。生徒の興味・関心を深め、自己探求の機会を提供できると説明した。

 自治体や産業界の関係者、両校の生徒、教師らで構成する懇話会は8回目。石坂氏の提言については、4月下旬から5月中旬を見込む次回以降に、県教育委員会や他の構成員の受け止め方を確認する方向だ。
 石坂氏は提言が、副市長という立場や市の方針とは別のものだと強調した上で、新校を中高一貫校とすることで「6年間でじっくりと自分探しができる」とした。時間がかかるキャリア教育を通じた進路選択を模索できること、地域の魅力向上、教師の専門性をより生かせることなどの利点を挙げた。
 さらに、企業や大学、団体が公共交通やICT(情報通信技術)などで先進的な取り組みを市内で行っていることに触れ、学校との共同カリキュラム設定の可能性にも言及した。
 提言の前提として、日本の高校生世代の社会参加意識や自己肯定感が諸外国に比べて低いとする公益財団法人の調査結果を紹介した。取材に対し石坂副市長は、既存の県立中高一貫2校(屋代、諏訪清陵=ともに高校入学時の外部募集もする併設型)は普通科だとした上で「総合学科での中高一貫に意味があると思う」と述べた。
 一方、県教委は、平成30(2018)年度にかけて行った第1期再編計画が対象の文書「まとめと課題の整理」(令和3年3月)で、少子化などを理由に「併設型の県立中高一貫校については、現行の2校体制を維持することが適切であると考える」としている。
 この日の懇話会では、塩尻志学館、田川の両校でそれぞれ行われた生徒によるワークショップの内容を、懇話会に入っている生徒が報告し、質疑応答や意見交換が行われた。