2025.1.30 みすず野
今年の節分は2月2日。日曜日だから豆まきをする寺社は、大勢が福を求めて訪れそうだ。紙面には塩尻市の郷福寺や松本市の深志神社で進む豆まきに使う福升作りの様子が載っていた◆あちこちの寺へ取材に行った。その度に「お寺は寒くて」と申し訳なさそうに言われた。もちろん暖房はあったが、それでも寒かった。そこには住職が升に文字を書く墨の匂いが漂っていた◆地元の寺の住職は墨絵が得意で河原で拾ってきた石にだるまの絵を描いていた。豆まきでは、その引換券を投げた。手元にも一つある。味のある絵で文鎮代わりに使っている。ずいぶん前に亡くなったが、その絵を見ていると温顔を思い出す◆豆まきは一升(1・8リットル)の升だと思うが一合(0・18リットル)升は、升酒を飲むのにも使われる。一合より小さな升もあり、そこにグラスを入れて酒を注ぐ飲み方を「もっきり」と呼ぶと聞いた。居酒屋ではおなじみか。升に酒を注ぎ角に塩をのせてなめながら、という飲み方は昔からあるが案外難しい。縁から飲むのが正しいそうだが、不器用なのでこぼしてしまう。もったいないので迷わず角から飲むことにしている。