山林の未利用材 木質バイオマス発電の燃料に 筑北で伐採、チップ加工 塩尻の発電所で活用

筑北村内の山林で伐採した松くい虫被害材などを村内でチップに加工し、塩尻市の木質バイオマス発電所に燃料として運ぶ作業が27日に行われた。松本広域森林組合(安曇野市三郷温)と、綿半建材(塩尻市片丘)、ソヤノウッドパワー(同)などが連携した。従来は山林から出ることがなかった枝や葉を含め、森林資源の有効活用を図る。
同村坂北の刈谷沢一帯の山林4・7ヘクタールで昨年8月から、所有者の同意を得て森林組合がアカマツやカラマツを伐採していた。筑北クリーンセンター跡地に流通拠点として設けた「中間土場施設」に計2480立方メートルを集め、チップにする材と、建築用材に分けた。
チップ向けは約1200立方メートルで、松くい虫被害にあったアカマツが目立ち、通常は山林内に残す枝や葉も多い。綿半建材が持ち込んだ機械で処理し、13トン積みのトラック3台分のチップが発電所に運ばれた。
伐採から処理、搬送までの一連の事業に、県の未利用材等活用システム構築支援事業を活用した。
松くい虫被害は拡大しており、広い範囲で被害木を伐採し、広葉樹などに植え替える樹種転換が進む。森林組合の山本健太参事は事業を「既存の森林資源の有効活用になる。地域企業との連携は、運搬コスト圧縮につながる」と説明する。綿半建材の傘木隆雄原木・チップ事業部長は「枝葉など従来は使わなかった物も活用することで、発電の資源量を底上げできる」とみる。
発電所は、県や塩尻市、民間が連携し、森林資源を活用する信州F・パワープロジェクトの一環で設けられたが、燃料材の供給が課題だった。発電所を運営しているソヤノウッドパワーの小池晃総務課担当課長は「林業活性化の一翼を担っていきたい」と話している。