鹿革の特産化模索 麻績・協力隊の平林結さん

麻績村地域おこし協力隊農業班の平林結さん(36)が、筑北地域に多く生息する鹿の革を特産品にできないか模索している。鹿は近年、肉がジビエ料理の食材として徐々に活用されてきたが、今季から狩猟に同行している平林さんは「皮や骨の多くは廃棄されている」と話す。鹿革も里山ならではの素材として地域循環できる仕組みを作れないか加工を実践しながら思案している。
稲作や果樹栽培を学ぶ傍ら、昨年11月から地元猟友会にも加わり、勢子として狩りに参加している。解体後に残る生皮を譲り受け、洗浄方法やなめし方をインターネットで調べつつ試行錯誤しながら革づくりを学んでいる。今冬初めて加工した鹿革と、裁縫の楽しさを教えてくれた曾祖母・久子さん(故人)が遺した着物地を組み合わせ、ハンドバッグも試作した。
埴科郡坂城町出身の平林さんは、日本大学生物資源科学部森林資源科学科で学んだ。ゼミの一環で狩猟免許も取得。猟銃を購入せず失効したものの、鹿の繁殖状況や鳥獣害について理解を深めた。卒業後、転職を経て入社したランドセル工房で革の加工に興味を持った。
来季には猟銃を手に狩猟に参加できるよう再び免許取得を進める考えだ。「鹿を余すことなく活用できるよう何でも試したい。麻績の『鹿レザー』が新たな特産になれば」と語る。