政治・経済

山形・唐沢川の源流で「寒晒しそば」作り

唐沢川の源流で玄ソバの浸水作業を行う創る会の会員と辰野町商工会青年部の部員ら

 山形村の若手そば職人や生産者でつくる「日本一のそばの里を創る会」(上條哲夫代表)が今年も、厳冬期の川に実をさらし天日乾燥させる「寒晒しそば」作りに取り組んでいる。6月から会員らが営む店舗で提供する。特色あるそば文化を発信し村を盛り上げようと始めた活動は5年目を迎えた。続ける中で地域を越えたつながりが生まれ、今年は寒晒しそば特産化を目指す上伊那郡の辰野町商工会青年部(新村充部長)が同会にノウハウを学んでいる。

 村内の唐沢そば集落を流れる唐沢川の源流に実をさらす浸水作業を8日に行い、村内産の玄ソバ約290キロを水温3度以下の冷たい水に浸した。約1カ月さらして2月5日に引き上げた後、天日干しでゆっくりと乾燥させる。厳しい環境にさらし、実が凍って解けてを繰り返すことで甘みやうまみが凝縮するといい、毎年味の評判は上々だ。
 創る会と青年部の意見交換も行った。創る会は、江戸時代に村が高遠藩領だった時期があることから藩が将軍家へ献上していた寒晒しそばの研究を始めたきっかけ、浸水場所や乾燥のさせ方を毎年研究・改良してきたことを紹介。上條代表は「重要な工程になる天日干しの時期は会員が毎日交代で玄ソバの天地返しをしている。今年も質の高いそばを提供し皆さんに喜んでもらいたい」と話した。
 青年部は数年前から町内でそば栽培に取り組み名産品として成長させたい考えだ。来年以降、町内の横川の蛇石で寒晒しそばの浸水作業をする構想で、今年は町産玄ソバ約30キロを唐沢川源流に浸水させ、試験生産する。中村陽一副部長は「昨年、山形の寒晒しそばを試食しておいしさに感動した。ノウハウを学び、町の資源を生かした活動にしたい」と話していた。