連載・特集

2025.1.18 みすず野

 石に立つ矢―。故事ことわざ辞典に、心を込めてやれば、できないことはないというたとえ、と意味が載る。中国前漢の李広という武将が大石を虎と見誤って一心に矢を射たところ、立つはずのない大石に矢が刺さったという故事による。出典は紀元前1世紀の初めころに司馬遷が編さんした歴史書『史記』◆大学入学共通テストがきょう、明日に行われる。意中の学校へ入学を目指して勉強に励んできた皆さん、いざ本番。落ち着いて解答用紙に向かい、成果を余すところなく発揮し、石に矢を立てたい◆大勢が受験前に塾へ通って、家計の教育費がかさむ時代になっている。「蛍のひか~り、窓のゆ~き」と歌っても、多くの現代っ子たちには何のことだか分からないだろう。そのなかでも何かしらの理由で、家庭の経済状況が厳しい受験生もいる。「蛍雪の功」までは体現しなくとも、苦学してこの日にたどり着いた受験生たち。今は目の前の問題を解くことだけに集中し、頑張ってほしい◆全ての受験生が体調万全で力を全て出し切れるよう願う。ラストスパートを決め、そして「サクラ咲く」の便りを待ちたい。春はもうすぐだ。