玄蕃之丞ゆかりの神社 住民の力で祠を新調 塩尻

塩尻市広丘野村の玄蕃稲荷神社の祠が新調された。祠を収めていた、昭和8(1933)年に建てられた拝殿の傷みがひどくなり、昨年9月に倒壊してしまったが、中の祠は奇跡的に無事だった。これからは拝殿がなくても神社が維持できるようにと、近隣住民約750戸の寄付で祠を一新した。
玄蕃稲荷神社は、桔梗ケ原に住んでいたキツネ「玄蕃之丞」にゆかりのある神社だ。九里巾集会所の北側にある。野村区誌などによると、古くは関東、関西方面からも参拝者が訪れてにぎわった。大正時代に焼失したが、昭和8年に再興された。近年は住民が毎年9月に行う例大祭に合わせて、周囲の下草を刈るなどして神社を維持してきた。昨年9月に作業を行うために住民が集まった時、拝殿の倒壊が分かった。有志が発起人会を組織して神社を再建することになり、地区内で寄付を募ると120万円が集まった。新たな祠は、かつての拝殿の隣地に整備し、灯ろうやキツネの石造も移設した。発起人会の星英夫世話役は「昔のにぎわいとはいかないが、人が集まる神社となってほしい」と願っていた。