臼井吉見著 長編大河小説『安曇野』文庫版 3月2日に復刊 お披露目・販売会も

安曇野市は14日、太田寛市長肝いりで計画している絶版の長編大河小説『安曇野』(筑摩書房)の復刊が、3月2日に決まったと発表した。市内でお披露目・販売会も開く。安曇野の名を全国に広めた小説を通して、多くの先人を生んだ安曇野の風土を誇りとして再認識してもらう狙いがある。ただ、2000人を超える人物が登場する大作を読み通すのは難儀で、市民に身近に感じてもらう工夫が求められる。
復刊数は文庫版第1~5部の1100セット(1セット税込み7040円)。お披露目・販売会は同日に堀金総合体育館で開き、文芸評論家・斎藤美奈子さんのトークなどを行う。復刊本は市内の小中学校や高校、図書館などにも置く。市の予算に加え、クラウドファンディング(CF)と企業・団体からの寄付で集まった299万6000円を費用に充てた。
堀金出身の作家・臼井吉見(1905~1987)の作で、昭和49(1974)年に完結した小説『安曇野』は、新宿中村屋を創業した相馬愛蔵・黒光夫妻、近代彫刻の先駆者・荻原碌山など安曇野ゆかりの5人を中心として、明治から昭和にかけての激動の社会を描く。3回完読したという太田市長は14日の定例記者会見で、これだけ多くの先人を輩出した田園地域は全国的に少ないとし「先人が安曇野をベースに日本全国、世界に飛躍していった歴史(の物語)を、ぜひ若い人に読んでほしい」と話した。
ただ、原稿用紙約5600枚分にもなる大作を読むには時間と労力がいる。太田市長は、読みやすくする改編が著作権上難しいとした上で「市の広報であらすじを紹介するなどの方法で、関心を抱いてもらう取り組みをやりたい」としている。
市は『安曇野』を基にしたNHK大河ドラマ化も目指している。
お披露目・販売会の参加希望者は2月4日までに、市ホームページから電子申請するか、ダウンロードした参加申込書を送付して申し込む。定員300人。
問い合わせは市政策経営課(電話0263・71・2401)へ。