豊科の細井ファーム 米・食味分析鑑定コンクールで金賞 有機栽培の取り組み評価

安曇野市豊科南穂高の細井ファームが、農薬や化学肥料を使わず自然有機物のみで栽培する水稲品種「ゆうだい21」が、米の食味を競う国内外最大級のコンクールで金賞に輝いた。同コンクールでの入賞は10回目。農林水産省の有機JAS(日本農林規格)認定を受け、20年前から取り組んできた米づくりへの評価を上げている。
山梨県北杜市で昨年12月6、7日に開かれた「第26回米・食味分析鑑定コンクール」(米・食味鑑定士協会主催)の、JAS認定や申請中の米を出品対象とした「栽培別部門(JAS・JAS転換中)」で表彰された。
コンクールには計7部門に、検体数約5000点の応募があった。金賞は合わせて50点余りという狭き門だ。玄米の状態で水分やタンパク質、アミロースなどを計測する1次審査、精米して「味度値」を割り出す2次審査、専門家が実食する最終審査で賞が決まる。
細井ファームは本年度、同コンクールに次ぐ規模の「第21回お米日本一コンテストinしずおか」(静岡県主催)でも「最高金賞」を受賞するなど、お米の食味に関わる四つの大会で好成績を収めた。
細井正博代表(62)が脱サラをして、10アールから有機栽培米を自営で始めた。現在1・5ヘクタールの水田で手掛け「雑草を抑える技術など、周囲にも広げられるような栽培体系が徐々に確立されてきた」という。
当初は販売面で苦労する中、大会へ出品し、第三者の評価を重ねたことが、首都圏を中心とする販路の構築につながった。ソバも有機栽培し、家族経営の農家レストラン・信州坊主ほのか(安曇野市豊科高家)で手打ちそばやおにぎりを提供している。
昨年末に安曇野市役所を訪れ、太田寛市長に受賞を報告した。脱炭素や環境負荷の少ない農業への転換に向けた令和4年施行「みどりの食料システム法」が、化学肥料の削減目標を掲げ、有機農業の拡大を求めている点に触れた細井代表は、「安曇野の農ある風景と生態系を守る米づくりが広がれば」と願っていた。