2025.1.22 みすず野
映画「男はつらいよ」シリーズの第10作は昭和47(1972)年に制作された「寅次郎夢枕」。プロローグで、渥美清さん演じる車寅次郎は、塩尻市の日出塩駅で目覚める。テレビでの放映を見ていて驚いた。全く知らなかった◆寅さんの後ろを蒸気機関車(SL)のD51の重連が貨物列車を引いて走って行く。この年の春休みに、贄川駅に停車中だったSLの運転席に入らせてもらって、何枚も写真を撮ったことをよく覚えている。映画は寅さんが奈良井宿に泊まり、弟分の登と偶然会う設定だった◆寅さんは気ままな旅暮らしを続けているが、ただ一人、頭が上がらないのが柴又帝釈天で住職を務める御前様。寅さんを幼少の頃から知る。笠智衆さんが演じて厳しいだけでなく、時に温かく寅さんを見守る◆さて、こちらは米国のトラさんである。大統領に返り咲いた。政権の中枢には自身のブレーンだった人物が顔を並べている。これまでは、あらゆることに対して言いたい放題のように見えた。寅さんにとっての御前様のような人物はいるのか。道を誤ったとき、引き返すために頭をこつんとする人物は必要だろう。それが気になる。