連載・特集

2025.1.17 みすず野

 阪神・淡路大震災が発生して2日後、小紙は「救援おもいやりボックス」開設の社告を掲載した。読者から続々と善意が寄せられその記事は1月中は2ページで掲載、3ページの日もあった◆2月末まで受け付けたが、3日に兵庫県の災害対策本部を新保力社長(現会長)が訪れ、それまでに寄せられた中から7000万円を届けた。期間中、受け付けたのは1936件、1億2254万円に上った。3月9日残りの義援金を届けた◆同行した記者は神戸市から大阪市の宿舎へ線路沿いに歩く。路上に酒に酔った年配の男性被災者が寝ていた。警官になだめられ歩道へ移るが「『おれはもう死んでもええんや』。涙が出そうになった」と「月見やぐら」に記す◆被災した障害者の手助けをと設立された「ゆめ・風基金」(当時)提唱者の牧口一二さんが8月松本市で講演した。震災前の街頭カンパで寄せられたのは1日7~10万円。地震から2日後は64万円に。「その日、大阪の街を歩いている人の気分は、普段とこれだけ違っていた。地震から1週間、大阪は本当にみんながやさしかったよ」と話した声が残る。人々の思いは今も続いているだろうか。