熟れる柿 軒下で甘く 妻籠宿 冬の風物詩「つとっこ」

旧中山道の宿場情緒を伝える南木曽町の妻籠宿で、柿をわらに包んだ「つとっこ」がつるされている。甘く熟れさせるための昔ながらの知恵で、この時季の風物詩として宿場を彩っている。
木工品販売の「木の店 あぶらや」では、同店の伊藤君江さん(83)が、かつて母親が作っていた記憶を思い出し、20年ほど前から毎年つるすようになった。風情ある町並みに鮮やかな富士柿が映え、足を止めて眺める観光客もいる。
わらで包むのは柿が熟れても崩れ落ちないための工夫という。伊藤さんは「小さな頃は貴重な甘味だった。熟すのを指をくわえて待っていた」と振り返る。例年1月半ばころに食べ頃を迎えるといい、「こたつにあたりながらスプーンですくって食べると最高だね」と笑みを浮かべる。