連載・特集

2024.12.27 みすず野

 冬が始まるころ、小室等さんの新しいアルバム「love song」が発売された。日本のフォークソング黎明期の1960年代から歌い続けている。81歳。全11曲で変わらない力強く優しい歌声が聴かれる◆朝日村出身の上條恒彦さんが歌った「だれかが風の中で」がある。小室さんの作曲。テレビドラマ「木枯し紋次郎」の主題歌だった。ライブで必ずといっていいほど歌う、詩人・黒田三郎の詩に曲を付けた「道」も収める◆最も心にしみるのは自身の詩、曲による「銀座ヤマハのラブソング」。60年ほど前の思い出だという。「楽譜売り場には/新しいソングブック/ジョーン・バエズもPPMも/ボブ・ディランもいて/輸入楽譜に/心は弾む」と歌う。アメリカのフォークソングが日本に入ってきたばかりのころ。当時付き合っていた女性は店のスタッフ。のち妻となり、今もともに暮らす、とライナーノーツにある◆小室さんが歌い始めた当時影響を受けた米国のフォークシンガー、ピート・シーガーさんは、94歳で亡くなるまで歌い続けた。小室さんもギターを手にあちこちのコンサートで歌っている。来年は松本で聴きたい。