塩尻市役所市民課の「おくやみサポートコーナー」利用好調

塩尻市が9月に市役所1階の市民課に開設した「おくやみサポートコーナー」が好調だ。遺族の負担を軽減する窓口で、死亡届を出した後の必要な手続きを1カ所で済ますことができる。予約枠に対する利用率は5~6割となっており、周知が進めば今後さらに利用が増えそうだ。
死亡届の提出後は、税金や住民登録、介護保険など70代以上の人が亡くなった場合は一般的に通常12~13の手続きがある。最大では51の手続きが必要だ。複数の部課を巡るため、一日では終わらない場合もあり、時間と手間が必要だった。
新設した専用窓口では、市民課のくらしの相談係3人が対応している。事前に予約した遺族に対して、不安解消のため手続きの数や所要時間を提示した後、順番に進める。手続きに応じて他部署からも職員が出向く。最短で30分、長くても1時間半で終了する。一部年金は、年金事務所での手続きが必要となる。
18日は4枠全てが埋まり、市内外から遺族が訪れた。97歳の母親を亡くして弟と来た市内在住の男性(76)は「自分の目も見えにくくなっている。簡単で助かる」と話した。
予約は、死亡記載の入った戸籍が用意できる期間を踏まえ、7営業日後から可能だ。一日4組(午前・午後各2組)までで、年内最終の27日までの枠は17日に全て埋まった。死亡届の提出時には、各種の手続きをまとめた冊子「おくやみハンドブック」を配っており、冊子に記載したQRコードから電子申請で予約もできる。ただ、遺族も年配者が多いためか、電話予約が7割以上を占める。葬儀会社からの案内で予約する人が大半だ。
対面ならではの丁寧な対応を心掛け、司法書士や弁護士相談につなげる案内もしている。利用者アンケートではほぼ全員が「満足」(9割)「やや満足」(1割)と回答した。
上條紀子市民課長は「遺族の疲れ果てた姿を見てきた。悲しい気持ちでいる中、事務の負担軽減が心情的な負担を減らすことにつながれば」と話した。
全国的に窓口改革が進む中、市は今年1月に来庁者が書類を書かずに手続きできる「書かない窓口」も導入している。