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安曇野市文書館 臼井吉見の幅広い交友を紹介 作家ら4人が臼井に宛てた書簡を展示

臼井に宛てた著名人の手紙が並ぶ展示コーナー

 日本を代表する作家らが、安曇野市出身の評論家で筑摩書房の編集者だった臼井吉見(1905~87)に宛てた書簡が、市文書館(堀金烏川)に展示されている。小説家で天台宗尼僧だった瀬戸内寂聴さんら4人の直筆文が並ぶ。27日まで。
 

 

瀬戸内さんが得度、出家する前年の昭和47(1972)年に筑摩書房から刊行された『瀬戸内晴美全集』全8巻の評伝執筆を臼井に感謝する礼状や、作家・三浦綾子が代表作『氷点』の続編を執筆中に近況を記した便せん4枚がある。文書館の平沢重人館長は「臼井の文芸評論家としての地位や信頼を裏付ける親交の軌跡」と解説する。
 臼井の代表作『安曇野』の最終巻第5部が発刊され今年で50年となる節目に合わせた企画展「邂逅」(市文書館、臼井吉見文学館共催)の後期展。令和3年に、臼井の次女・増澤フユミさんが市へ寄贈した、臼井宛ての書簡の一部になる。
 政治学者の丸山眞男が、『安曇野』の執筆について「歴史学の若い研究者にも必読文献となる」などと敬意を表した書状や、哲学者で詩人の串田孫一が、臼井著『事故のてんまつ』についての感想を寄せた手紙も公開した。
 入館無料。問い合わせは文書館(電話0263・71・5123)へ。