塩尻市が太陽光発電 規制強化へ条例改正目指す 設備の設置禁止区域を新設

塩尻市は、定格出力が計10キロワット以上の設備を設置する事業者を対象とする「太陽光発電設備の適切な設置及び管理に関する条例」を改正する方針だ。4月に施行された県条例に鑑み、設備設置の「禁止区域」を定めるなどして従来より規制を厳しくし、令和7年7月の施行を目指す。市ホームページで骨子案を公表し、24日まで市民の意見を募っている。
主な改正点は、太陽光発電設備の設置が好ましくないとする従来の「抑制区域」に加え、「禁止区域」を定めて設置に適さない場所を明確化する。市は「自然環境へのリスクが大きいものは抑制から禁止にかじを切る」とし、禁止区域は、砂防指定地や土砂災害特別警戒区域のほか、地域森林整備計画区域や優良農地が含まれる。
運営事業者には、管理実態を報告する年1回の「定期報告書」や「事故発生報告書」の提出を求め、事業者間の売買による責任の所在を明らかにするため「事業承継届」を出してもらう。勧告に対する必要な措置を行わない場合、市長が「命令」できる。
市は、再生可能エネルギー設備設置のガイドライン(平成29年施行)を定めた後、4年度には太陽光発電に特化した条例を制定していた。太陽光発電設備の設置申請件数は、ガイドライン施行の初年度は3件で、条例制定前年の3年度は最多の13件だった。5年度は6件、6年度はこれまでに9件となっている。設置場所は塩尻東、片丘、北小野が多く、事業面積は森林法に基づく県の審査が必要な5000平方メートル以下が多い。
現行条例でも住民説明会の開催、市や住民との協定締結をうたうが、近年は頻発する集中豪雨に伴う市民生活への影響が懸念されている。6~10月には造成中の森林から、みどり湖に土砂が流入する事案が数件あり、地元で心配する声が聞かれた。市生活環境課は「(条例改正により)適正に設置、維持管理され、市民の生命や財産が守られるようにしたい」とする。市内既存事業には、本年度からの県条例がさかのぼって適用されている。