火山防災のあり方 考える 木曽町・王滝村 御嶽噴火10年 識者らシンポジウム

平成26(2014)年の御嶽山噴火災害から10年を迎えたのに合わせたシンポジウムが30日、木曽町日義の木曽文化公園で開かれた。来場者は火山防災に関する講演や活動報告などに耳を傾け、日本の火山防災の状況や今後のあり方について考えた。
「御嶽山噴火後の火山防災とこれから」をテーマにパネルディスカッションが行われた。文部科学省研究開発局の相澤幸治・火山調査管理官は、今年4月に発足した政府の火山調査研究推進本部について「火山の調査研究を一元的に推進する司令塔」と紹介した。王滝村の越原道廣村長は「(自治体において火山実務を担う)人材の育成につなげてほしい」と期待した。
木曽町の原久仁男町長は、山頂域への立ち入り規制の緩和措置が夏山シーズンに限っている現状に触れ「どのような状態になれば元の火口周辺のみの規制になるのか」と投げ掛けた。産業技術総合研究所地質調査総合センターの及川輝樹・主任研究員は「科学的には答えにくい非常に難しい質問。それらを話し合う場として(山麓自治体などでつくる)御嶽山火山防災協議会などが重要」と私見を述べた。
火山実験の実演もあった。北翔大学教授で洞爺湖有珠火山マイスターの横山光さんは、濃度の異なる入浴剤を薄型の水槽に流し入れて火砕流を再現した。「700度にもなる高温の火砕流が時速100㌔で流れ落ちてくる。噴火が起きたら山から離れよう」と呼び掛けていた。