2024.12.23 みすず野
年末の楽しみは、今年出版された本の中から、メディアが選ぶベスト10のような企画だ。その中で「本の雑誌」1月号は、総合と6ジャンルのベスト10をそれぞれ発表している◆総合で選ばれた本は1冊、ジャンル別ではノンフィクションで1冊しか読んでいない。特徴ある編集の雑誌なので、あちこちに目配りしたような結果ではないが、近年にない少なさ。読書量は落ちている◆このほかに「私のベスト3」がある。作家や評論家、翻訳家、ライターなど32人が選んだ。ここには読んだ本が4冊あった。この中で、作家の嵐山光三郎さんが、松本深志高校出身の俳人・小澤實さんの『句集 澤』を挙げている。今年の蛇笏賞受賞作だ。「一昨年『芭蕉の風景』で読売文学賞を受賞した小澤實の第四句集。著者の四十代半ばから五十代半ばにいたる傑作が勢揃い」と紹介している◆料理の句を2句挙げてから「『翁に問ふプルトニウムは花なるやと』と芭蕉先生に問いかけた」と結ぶ。この本は発売後間もなく、店頭で見つけてすぐ買い求めた。小欄でも紹介した。俳句界最高とされる賞を得た句集。こうして取り上げられるとやはりうれしい。