救急活動時にマイナカード活用 木曽広域消防本部 国の実証事業で2カ月運用

木曽広域消防本部は本年度、救急活動時にマイナンバーカードを活用して傷病者の情報を把握する消防庁の実証事業に参加している。受診歴や服用する薬剤などの情報を得て、業務の円滑化を図る目的だ。8月9日から2カ月間試験的に実施し「正確な情報を把握して活動につなげられる」と手応えを見せる。
消防庁はカード活用の全国展開を見据え、希望があった全国の67消防局・消防本部で本年度に実証事業を行っている。それぞれで2カ月ほど実施し、報告を基に今後の展開を検討する。
木曽広域消防本部では期間中、救急出動270件のうち、34件でカードを活用した。カードと保険証をひも付けた「マイナ保険証」があり、本人の同意を得るか、受け答えができない状態などで必要と判断された場合に情報を得た。
消防課によると、救急活動の対象となる人の受診歴や服用薬剤などは、本人や家族でもはっきりと覚えておらず正確な把握が難しい場合もある。意識がないなど情報を聞き取れないケースもあり「病院への引き継ぎもスムーズにできるなど、カード活用に効果を感じる」と話す。一方、専用の機械でカードを読み取る際、現在のシステムだと認証に時間がかかる課題も見えたという。
同課は「高齢化が進む管内では、把握するべき情報が多いケースも増えている」とし、事業が「正確・迅速な救急活動につながれば」と期待している。
県内では、長野市消防局と飯田広域消防本部も参加する。