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スイス人記者 神事に密着 薮原神社 日本酒醸造の取材で

カメラを手に、本殿で営まれる神事を取材するサンドラ・ペルネさん

 スイスの主要報道機関の記者が15日、木祖村の薮原神社を訪れた。厳かな神事の様子を写真に収め、日本古来の信仰である神道に理解を深めた。氏子への取材を通じて、自然や生命に敬意を払い、神々に祈りや感謝をする信仰の本質も探った。

 フランス語圏の日刊紙ル・タンのサンドラ・ペルネさん(42)が訪れ、まだ日も昇らない時間から営まれた月次祭の様子を取材した。参列した氏子らには「何を祈っているのか。自分のためなのか?」などと質問し、神社総代会長の宮下孝次さんから「地域の繁栄も願っている」との言葉を引き出していた。
 日本酒に軸を置いた「醸造」が今回の取材テーマという。「お清め」の概念を筆頭に「神道に目を向けなければ日本酒は語れない」と神社の取材につながった。日本への留学経験もあるサンドラさんは「昔から続いている歴史は尊敬に値する。貴重な取材になった」と話していた。
 フランスで神道を広める活動に長年取り組んだ薮原神社禰宜・奥谷公胤さん(50)が現地で培った人脈を通じて訪問につながった。奥谷さんは「われわれの身近にあるものが大切なものだと気付かせてくれるきっかけになる。地域の方にも誇りに感じていただけるのでは」と話していた。
 この日は村内の湯川酒造店も取材した。