政治・経済

麻績の協力隊員・堤純一さん、果樹農家へ来春独立

リンゴなどを育てる果樹農家としての独立に向け準備する堤さん

 麻績村地域おこし協力隊農業班の堤純一さん(28)=半在家=が、隊員として最終の4年目を迎え、来春に村内で果樹農家として独立する。埼玉県出身で会社員から未経験の農業の道へ飛び込んだ堤さんは、村特産のリンゴを主軸に「手間ひま掛けて良い果物を育て消費者へ届ける」との夢の実現に向け歩みを進めている。

 村温泉宿泊施設・シェーンガルテンおみ周辺の農地で、隊員研修の一環として20品種以上のリンゴを植えて育てている。収穫時期が異なる人気品種だけでなく、風味も食味も異なる〝ニッチ〟な品種も発信する狙いで、ワイン用ブドウの栽培にも取り組む考えだ。品種別のリンゴジュースを試作研究するなど、果実の持ち味を生かした「6次産業化」の取り組みも模索する。
 堤さんは東京海洋大学(東京都)を卒業後、東京都内の食品専門商社へ入社。ナッツ類を産地から仕入れて食品加工会社へ手配する業務を担った。だが「生産にも消費者にも関わらない仕事」に疑問を抱き「大好きな果物を作って届けたい」と麻績村への移住を決意した。農業班を支援するNPO法人・おみごとを拠点に栽培の技術・知識を蓄えた。
 今夏「みどりや」を屋号に決め、両手でささげ持つリンゴが新芽にも見えるデザインのロゴを定めた。英語の「Green(グリーン=緑)」の語源が「Grow(グロウ=育つ)」と共通と知り、妻で隊員の香保里さん(36)と二人三脚で歩む農家として成長していきたいという願いを込めた。堤さんは「手間を惜しまず『人に贈りたくなる果物』を育てたい」と意気込んでいる。