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独自の書体 揮毫依頼次々 木曽町職員・新井淳さん 題字や名刺、祝儀袋、表彰状

筆を振るう新井さん

 木曽町観光商工課職員の新井淳さん(43)=福島=が、地域に関わりのあるイベント題字や町職員の名刺などを、依頼を受けて揮毫している。書道は小学校2~5年生の時に教室で習ったきりだというが、型にはまらない力のある書体が好評だ。

 これまでに、町すんき大使に起用された町出身の俳優・田中要次さんの名刺、文化庁の「日本遺産」に認定されている木曽路のPR題字、地域のジャズライブの題字などを手掛けてきた。地元の人のつながりで、令和4年放送のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の主役で、鎌倉幕府2代執権・北条義時が創建した北條寺(静岡県伊豆の国市)の御朱印を書いたことも。頼まれて名刺を書いた町職員は20人以上に上り、「名刺を渡した相手と話が盛り上がる」などと喜ばれている。
 書道から遠ざかっていたが、役場に就職して周囲から「書道をやっていたのなら」と祝儀袋や表彰状などの名前書きを頼まれることがあった。15年ほど前、自筆の名刺を作っている人と名刺交換したのがきっかけで、名刺を自作するようになった。そのころから題字や名刺の依頼が増えていったという。
 「自分でうまいと思ったことはなく、こんなものでいいですか、という感じ」と謙虚に話す。書道の段位は二段。「中学生の長女は九段で『私の方が上』とからかわれる」と笑う。一方、「子供の頃は絵を描くのが好きだった」という感性を下地にした、オリジナルの書体が魅力だ。「字の大きさを大きくしたり小さくしたりと、全体のバランスを考えて書いている」と語る。
 今も書道を習うことはなく自己流だ。「自分がこうと思ったように自由に書かせてもらっている」と、自分なりの書道との向き合い方を歩んでいる。