政治・経済

松本市の省エネ対策補助金 申請増

住宅の一室に設置された蓄電池

 松本市の「省エネリフォーム補助金」の申請件数が増えている。電気料金の高騰対策や災害時の電源確保に取り入れる人が多く、市に加えて国や県の補助を併用できることも後押しになっている。関心の高まりを受けて市は来年度以降、取り組みを強化する考えだ。

 市の補助メニューは「内窓設置」や「玄関ドア交換」など開口部の断熱改修に関するものから「太陽光発電設備」「定置型蓄電設備」など全18種類あり、市住宅課によると県内他自治体と比べて種類が多い。特に注目を集めているのが開口部の断熱改修で、夏の暑い外気の流入と冬の暖かい室温の流出を防いで冷暖房効率を向上させるため、光熱費削減につながる。
 開口部の断熱改修に「LED照明器具」や「高効率給湯器」などを合わせた「省エネ設備」に関する申請は、新型コロナウイルス感染症禍の影響で資材不足に陥った2年度に一度は落ち込んだものの3年度に増加に転じ、昨年度は平成29(2017)年度の制度開始以降初めて1500件を超えた。同課は「国の『先進的窓リノベ2024事業』の補助金を市の補助と併用できることも魅力になっている」と話す。
 昼間に使い切れずに余った太陽光発電による電力を蓄えておくことができ、停電時の電源として使用できる「定置型蓄電設備」への補助申請も4年度は58件、5年度は74件と増えており、本年度は9月末ですでに77件に達した。こちらは県の補助との併用が可能だ。電気自動車などのバッテリーに蓄えられた電気を自宅で利用できるようにするシステム「V2H(ビークルトゥーホーム)」への関心も高まっていて、市は来年度以降、補助メニューや内容の充実を検討している。

 市内の男性公務員(59)は今年2月、自宅に4・9キロワットの太陽光パネルと蓄電池を導入した。電気代が月平均8000円(内基本料金2000円)なのに対し売電収入は同9000円に上るという。
 費用は工事費を含め290万円。市補助を申請した場合、太陽光発電設備分(1キロワット当たり2万5000円で上限10万円)で10万円、蓄電池分(1申請あたり10万円で上限10万円)で10万円の計20万円が交付される。