信州F・パワーの発電事業 新会社に継承へ 綿半HDと九電工が出資 来年6月譲渡見込む

綿半ホールディングス(HD)は5日、同社と九電工(福岡市)が出資する新会社・綿半ウッドパワー(塩尻市片丘)を設け、木質バイオマス発電事業に本格参入すると発表した。県や塩尻市、民間が連携し、森林資源を活用する信州F・パワープロジェクトで、発電事業を担ってきたソヤノウッドパワー(SWP)の事業を受け継ぐ。
燃料材を調達・供給している綿半建材(旧征矢野建材、松本市笹賀)が、九電工を除く他の株主からSWPの普通株式を取得し、一時的に綿半建材の子会社にした。FIT(再生可能エネルギー固定価格買い取り制度)の移行手続きを終えた上で、事業を新会社に譲渡する。10月中旬に設立した新会社の資本金は1000万円で、出資比率は綿半HDが65%、九電工が35%。SWPは特別清算する。
発電事業は現在地で継続する。従来は使われなかった枝葉を集めるコンテナを県内各所の森林組合に置いたり、供給元を増やしたりといった施策を進め、SWPで課題になっていた燃料材の供給網を強化している。
12月ころに周辺住民への説明会を行い、FIT移行手続きは令和7年4月に申請する。事業譲渡は同年6月ころを見込む。
燃料材の供給網強化などで、出力1万4500キロワットの発電施設はこの1、2カ月でフル稼働できるようになった。綿半HDは、フル稼働の時間を増やしていけば採算が取れるとみる。
SWPが県から受け、残高が7361万8000円となっている無利子融資の取り扱いは今後、県と国、SWPと綿半HDで調整する。綿半HDは県や塩尻市との連携を維持していく考えだ。