塩尻・家庭児童相談「虐待」4割増の245件 昨年上回るペースで推移 本年度上半期まとめ
塩尻市に寄せられる家庭児童相談の本年度上半期(4~9月)の状況がまとまった。全体の相談件数は延べ878件で、昨年同期に比べ8・9%(86件)減った一方、相談内容では「虐待」が245件で、昨年同期(174件)に比べ4割増となった。昨年1年間の325件を上回るペースとなっている。
虐待のうち「心理的虐待」が最も多く、子供の前で夫婦がけんかをする「面前DV」がよくある事例だ。件数増は、心理的虐待への認知が高まっていることが要因の一つとみられる。当事者や子供、近所からの通報で警察が介入し、児童相談所に通告される。当事者として通報する保護者には、夫婦げんかを見せること自体を虐待と認識している人もいる。この上半期に、子供の命に関わるような深刻な案件はなかった。
全体(年間)の相談件数は、新型コロナウイルス禍の令和3年度の2146件をピークに、4年度に1981件、5年度に1898件と減った。ただ、コロナ禍前(1500~1600件)の水準までには戻らない状況だ。
市は4月に市役所内に「こども家庭センター」を開設、児童福祉と母子保健の連携を強化している。「統括支援員」を置き、担当のこども未来課と健康づくり課が月1回支援会議を開いて情報共有し、よりきめ細やかな対応を心掛ける。こども未来課担当者は「相談できる場所があると知って、相談してほしい。早期発見と早期対応が大切だ」と話している。