2024.11.29 みすず野
松本市の松本美須々ケ丘高校前の美須々交差点で、昨日、信号待ちをしていたら、街路樹のイチョウが初冬の日の光を浴びて黄色く輝いていた。あまりに見事で思わず見入ってしまい、信号が変わったことに気づくのが遅れた。今年は特に色付きがいいような◆生家には大きなイチョウの木が1本あった。かなり離れた場所からも1本だけ抜き出て見え、家の位置を知る目印にしていた。この時期になると、たくさんのギンナンを付けた。落ちた実で道路が黄色くなるほどで、母はその片付けに毎年苦労していた◆茶わん蒸しにギンナンが入っていないとがっかりする。子どもの頃から親しんだ味だが、食卓に上るまでの母のあれこれを思うと、いつ頃からか素直に喜べない思いを抱くようになった。今でもどこかにそんな何かが小さく残る◆これから茶わん蒸しを食べるというとき、目当てはもちろんギンナンだ。運ばれてきた目の前の容器に、待ちきれずに慌てて触れるとやけどする。ゆっくりとふたを取って、一口ずつ味わいながら、小さなスプーンを何回か口に運び、中身をすくっているとほら、あった。緑の小さな実が輝いている。