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臼井吉見の交友の軌跡たどる企画展 『安曇野』完結50周年で

臼井と親交が深かった人物らの書簡などを並べた展示(文書館)

 安曇野市文書館と臼井吉見文学館は、筑摩書房編集者や教師を務めた同市出身の作家・臼井吉見(1905~87)が、数々の作家や教え子らと深めた親交の軌跡をたどる企画展「邂逅」を両館で同時開催している。ノーベル文学賞作家・川端康成が臼井に宛てた手紙も初めて公開した。12月27日まで。

 臼井の代表作である長編小説『安曇野』の最終巻第5部が昭和49(1974)年に発刊され、今年で50年となる節目に合わせて企画した。交流があった人物たちからの書簡、はがき、生原稿など文書館の収蔵資料を中心に約30点を展示した。
 文書館に展示した川端の手紙(昭和44年)では、脳血栓で倒れた臼井を気遣いながら、自らの体調や生活ぶりを赤裸々に記している。東京女子大の教え子で作家の故永井路子さんが臼井に宛てた書簡なども並べた。企画・監修した同文書館の平沢重人館長は「2000人を超す実在人物を登場させた『安曇野』は、こうした出会いと対話を根本に据えた臼井の生きざまそのもの」と話す。
 入館無料。問い合わせは文書館(電話0263・71・5123)へ。