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学生の現地調査に補助金 木曽町 本年度新設 利用好調 交流促進に一役

補助金制度を利用して滞在した日大佐幸ゼミの学生と同好会員の合同読書会。木曽節が披露される場面もあった

 木曽町が本年度新設した「大学生等関係人口推進補助金」の利用が好調だ。町内でフィールドワークを行う大学生を金銭的に支援しようと設け、9月末までに3件19人が利用した。木曽の風土や文化、地域課題に関心を持つ若者たちの交流人口の増加に一役買っている。

 町内の宿泊施設などに2日以上滞在するゼミナール、部活動、クラブといった大学生の団体が利用できる制度で、1年度内に3回まで交通費、宿泊費の2分の1が補助される。交通費は鉄道・高速バスが対象で、1回につき上限1万円、宿泊費は1泊5000円が上限で、1回につき2泊までが限度となる。
 町企画財政課の古畑邦昭課長は「町を研究対象としてもらえるのは光栄なこと。これまでゆかりがなかった大学にも利用してもらえている」と喜ぶ。
 9月上旬、日本大学(東京都)法学部の佐幸信介教授=松本市=のゼミナールに所属する3年生6人の合宿が2泊3日の日程で行われた。「近代日本の『歌謡』『民謡』と心情構造」をテーマに進めている共同研究の一環で、民謡を切り口にした文献精査や、開田高原地域の民話を収録した映像鑑賞などをした。
 町文化交流センターで開かれた、地元の若手でつくる「きそ歴史芸術文化調査研究同好会」との合同読書会では、木曽節や草刈り唄、祝い唄といった地元の民謡について会員が情報を寄せ、学生と意見交換をした。
 佐幸教授は「交通費と宿泊費の半分を出してもらえるのはとても大きい」と感謝し、3年・平川一慶さん(20)=東京都=は「木曽は自分が育った田舎と雰囲気が似ていて、実家に帰ったような感じ。現地で民謡をうたっている人の話などに触れることができてよかった」と話していた。