松本の商業地が2年連続で上昇 長野県の基準地価 中信3市の土地需要高く
県は17日、土地取引の指標となる令和6年の地価調査(基準地価、7月1日現在、1平方メートル当たり)の結果を公表した。松本市の商業地全7地点の平均変動率はプラス0.8%で2年連続の上昇となり、上昇率も前年の0.2%から0.6ポイント拡大した。県内19市の商業地の平均変動率を見ると、上昇しているのは松本、安曇野、塩尻、長野の4市だけで、中信地域の土地需要の高まりがうかがえる。
松本市の商業地の変動率を地点別に見ると、上昇が前年より3地点多い6地点、横ばいが3地点少ない1地点で、下落はなかった。横ばいから上昇に転じている地点が多く、新型コロナウイルス禍の前に戻りつつある。県不動産鑑定士協会の会長で茅野不動産鑑定(松本市島立)の茅野武弘さんは「松本市街地は観光客が増えて人通りが多くなり、不動産市場にも活気を与えている。マンション需要も多く、供給が限られているから物件に希少性があり、上振れしている」と話す。国道19号などのロードサイドも、物流や製造業などで物件を探している業者は多いという。
塩尻市の商業地で上昇したのは前年と同じ3地点、横ばいは1地点多い2地点、昨年1地点あった下落はなくなった。安曇野市の商業地は上昇が前年より2地点多い3地点、下落は前年と同じ1地点だった。
住宅地の平均変動率は松本、塩尻、安曇野の3市とも上昇しており、上昇幅も拡大している。松本市の変動率はプラス0.4%で3年連続、塩尻市はプラス0.8%で8年連続、安曇野市もプラス0.8%で4年連続の上昇となった。茅野さんは「松本市や塩尻市は住宅を所有しようと考える世代が多いが、物件が限られている。競争が働いている」とみる。
住宅地では、松本市などのベッドタウンとして需要がある山形村も4年連続、移住者が増えている松川村も3年連続で上昇した。