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塩尻・桑の湯「跡継ぎ」決定 静岡のベンチャー企業 年内の新装開店目指す

桑の湯ののれんを引き継ぐことが決まったニコニコ温泉の真神社長(右)と桑澤さん

 6月末に95年の営業を終えた塩尻市内唯一の銭湯・桑の湯(大門一番町)で銭湯事業を継承する事業者が決まり、12日、同所で記者会見が開かれた。東京や神戸、大阪で銭湯の再生を手掛けてきた銭湯経営代行業・ニコニコ温泉(本社・静岡県伊東市)が、屋号はそのまま引き継ぐ。年内の新装開店を目指す。

 記者会見には、前経営者の桑澤弘幸さん(53)とニコニコ温泉の真神友太郎社長(51)、塩尻店長を担う統括マネジャー・相良政之さん(26)ら関係者4人が出席した。
 ニコニコ温泉は平成27(2015)年5月に創業したベンチャー企業で、関東・関西の4カ所で銭湯を再生させた実績がある。地方の小規模都市での事業は初の試みで「挑戦」だという。昨年8月に桑の湯に訪れていた真神社長は「この地域にどれだけ大事な銭湯だったかを感じる。非常に身が引き締まる思い」とし、「今ある価値を深掘りして、地域に根差したお風呂屋として続けていく」と語った。
 同社はここ1、2年で銭湯の燃料にガスと併用してまきを導入しており、桑の湯の特徴のまきを軸にした風呂は続ける方針だという。昭和初期の雰囲気を残しつつ内装や設備を改修し、営業準備を進める。1年目は銭湯の健全経営に注力し、2年目以降で建物を生かした宿泊など新たな仕組みやサービスを提供していく考えだ。
 銭湯の事業継承者は6~7月に不動産情報サイトで公募し、5社の応募があった。書類審査を通過した2社と面接し、8月中旬に決定した。土地建物は桑澤さんの所有で賃貸借契約を結ぶ。桑澤さんは「一番情熱があった。再びともしびをともしてくれる方を紹介でき、わくわくしている」と語った。