オウム事件と死刑制度考える 松本で映画上映会とトーク

オウム真理教事件を通して死刑制度を問う映画「望むのは死刑ですか オウム"大執行"と私 告白編」の上映会が9日、松本市のMウイングで開かれた。元教団幹部13人の死刑執行から6年。アフタートークでは、オウムによる坂本堤弁護士一家殺人事件で後輩の坂本弁護士を失った岡田尚弁護士(79)=神奈川県=が登壇し「彼らを許す気持ちには到達していないが、許さない結論が死刑かと問われれば違う」と語った。
作品は、被害側、加害側それぞれが死刑執行を巡る複雑な胸中を語るドキュメンタリー。長塚洋監督(65)が取材した。ひとくくりにできない被害者感情や、死刑を執行する刑務官の人権、仮釈放のない終身刑や刑罰の基本は応報という考えなど、当事者たちの言葉が次々と紡ぎ出された。
午前の回のアフタートークは岡田弁護士と長塚監督が登壇。以前から死刑反対論者という岡田弁護士は、事件によって初めて向き合うものがあったとし「われわれはあまりに死刑を知らない。もっと情報を明らかにしないといけない」と述べた。会場からは「冤罪がある限り死刑は廃止すべき」の意見があり、長塚監督は「判決は裁判所が出すが執行は政治だ」と話した。
松本シネマセレクトが主催した。