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豊科武道館・剣道場解体へ 9月着工、跡地利用は未定

解体工事が始まる剣道場

 安曇野市は9月、豊科交流学習センターきぼうの東側にある豊科武道館・剣道場の解体工事に着手する。昭和30(1955)年に開校した旧豊科中学校の前身・豊穂中学校の体育館として同29年に建設されてから70年が経過しており、老朽化が進んでいて耐震基準も満たしていない。跡地の利用は未定。旧豊科中をしのばせる最後の建物がなくなる。

 鉄骨平屋の約890平方メートルで、子供の剣道クラブや大人のダンスクラブなどで活用されている。代替施設として、豊科高家の市豊科南部総合公園に令和3年度に完成したANCアリーナ(市総合体育館)内に、柔剣道場が設けられている。
 旧豊科中は、現在の豊科北中と豊科南中に分かれる昭和60(1985)年まで存立していた。敷地は豊科近代美術館やきぼうなどで活用されており、関係する建物としては体育館だけが剣道場として利用されてきた。
 剣道場を見るとクラスメートや恩師のことをふと思い出すという卒業生の女性(72)=豊科南穂高=は「次の世代が発展していけるように跡地を活用してほしい」と願う。長女と親子で卒業生だという女性(83)=豊科=は「今まで中学校の体育館が残っていたことがすごい。思い出はいっぱいある」と当時を懐かしんでいた。
 解体工事は年度内の完了を予定する。市スポーツ推進課は「大型車が通行するので周辺の交通や騒音でご不便やご迷惑をおかけするが、ご理解いただきたい」としている。
 隣接する柔道場は令和7年4月から8年3月までの改修を予定している。昭和61年建設の鉄骨平屋で、耐震基準も満たしている。畳が敷いてあり、避難施設などにも活用できるため残すという。