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川遊びの事故 相次ぐ 阿寺渓谷と柿其渓谷 「自然の川」 注意呼び掛け

水遊びをする人たちでにぎわう阿寺渓谷(23日、大桑村)

 夏場に涼を求める観光客らでにぎわう大桑村の阿寺渓谷と南木曽町の柿其渓谷で今夏、水難事故が相次いだ。それぞれ水遊び中の若者と中学生が流され、気付いた周りの人らが救助し、2人とも軽いけがで済んだが、過去には死亡事故も起きている。例年9月ころまでは水遊びをする人が見られるといい、両町村などはあらためて水難事故防止に注意を呼び掛けている。

 阿寺では7月13日に愛知県知立市の大学生の20代女性が、柿其は8月17日に名古屋市の中学生男子(14)が、川遊び中に流された。
 両渓谷は大桑、南木曽境の恋路峠を挟んで位置する。水の澄んだ清流で知られ、川遊びに訪れる観光客らも多い。ただ、両町村とも「水遊び用に整備されていない自然の川」として十分な注意を促す。
 大桑村は阿寺について▽夏でも水温が低い(8月の平均水温は約16度)▽見た目以上に川底が深く流れが急な場所がある▽雨の後は増水している―ことなどを注意点に挙げ、村のホームページ(HP)で発信する。南木曽町も水難事故を受け、ライフジャケット着用など事故防止を呼び掛ける内容を町観光協会のHPに載せた。
 木曽広域消防本部によると、管内では今年、4件の水難事故が起きている。令和2年9月には、阿寺で水遊び中の20代の2人が亡くなる事故があった。
 大島聡・木曽消防署副署長は、水遊びの際は「水温、深さ、流れなどその場の環境を事前にしっかり確認してほしい」と話す。水の事故は命に関わる事態につながりやすく、連絡手段の確保や浮き具の持参、情報収集など準備の徹底を促す。「自然の中では常に危険と隣り合わせと認識を持つことが大事」と話している。