政治・経済

脱炭素へ官民出資の企業設立 再生エネ開発・供給 松本など4市村も出資

出資者の代表が顔をそろえた設立会議

 松本市などが出資して再生可能エネルギーの開発・供給を行う地域エネルギー事業会社が設立された。同市島内のごみ焼却施設・松本クリーンセンター(松本CC)の余剰電力を活用した電力小売り、公共施設を対象にした太陽光発電を収益の柱として事業展開する。脱炭素社会の実現を目指す官民連携の取り組みをけん引する。

 社名は「松本平ゼロカーボンエネルギー株式会社」。設立は8日付で、資本金は5000万円。社長には松本ガス(松本市渚2)の清水是昭社長が就いた。
 19日に同市の松本商工会館で設立会議を開き、企業3社、金融機関1行、松本CCを運営する松塩地区広域施設組合の構成4市村(松本、塩尻、山形、朝日)の出資者8者の代表が顔を合わせた。清水社長は「地域脱炭素社会の実現の起爆剤となって、カーボンニュートラルの動きが地域全体に広がるように事業を進めたい」と決意を述べた。
 計画によると、松本CCが廃熱で発電し、地域外の電力会社に売っている約6000世帯分の余剰電力(年間2400万キロワット時)を全量買い取り、4市村の施設に供給する。公共施設に太陽光発電パネルを設置し、契約した同施設から売電収入を得る「太陽光PPA事業」を行うほか、環境教育なども進める。
 来年4月に事業を開始し、年間売上高は約4億円を目指す。まずは電力小売りを中心に展開しながらノウハウを蓄積し、令和9年度以降は一般家庭や民間企業に電力供給先を拡大する方針。
 地域エネルギー事業会社は、ゼロカーボンを全庁体制で進める松本市が3年前から設立を目指し、民間に働きかけてきた。臥雲義尚市長は「着実に事業を広げ会社を大きくすることが、松本地域で暮らす人たちのすそ野を広げることにつながる」と述べた。
 出資比率は松本ガス55%、松本市13%、塩尻市3%、山形、朝日両村1%となる。