安曇野髙橋節郎記念美術館で、能登復興支援展に向け壁画を公開制作 石川県出身の現代美術作家・大橋文男さん

石川県七尾市出身の現代美術作家で京都芸術大学非常勤講師の大橋文男さん(61)=埼玉県=が、安曇野市穂高北穂高の安曇野髙橋節郎記念美術館で、能登半島地震の被災地復興を支援する作品展の公開制作に取り組んでいる。安曇野との縁を大切にしたいと、入り口門扉の外構に6月から描いてきた壁面絵画がほぼ完成。メインとなる屋上テラスでの制作も始まっている。
復興支援展「蝶獣戯人画」は9月14日から12月1日まで。制作開始に合わせて義援金を募る募金箱を館内に設置している。開始から7月末までに約4万円が寄せられた。
大橋さんは昨年から市と同大学の連携事業を担当しており、復興を支援する作品の制作や発表ができないかと考えていた。同美術館は体験講座で石川県輪島市の漆塗り板を使っていたため、復興支援のチャリティー展開催を模索。両者の思いが一致したという。
入り口門扉の外構はコンクリート製で、作品は高さ90センチ、幅8・4メートル。作品展をPRする看板の意味も兼ねている。削筆やブラシなどで汚れを削ったり、木炭やオイルパステルを使ったりして人物やチョウなどを線描している。釣り糸でつるした研磨材が風で揺れて汚れを削り、北アルプスの尾根を自然と描くような実験的な仕掛けも取り入れている。
屋上テラスの作品は線描と立体で構成する予定で、お船祭りのお船など安曇野にまつわるモチーフを盛り込むという。能登の海岸で集めた漁網の端くれも活用する。人々の被災地復興の願いをつなぎ合わせるという意味を込め、ワークショップを24日に開いて漁網を結び合わせる。
市内に滞在しながら作品制作を進めている大橋さんは「お気持ちだけでいいので、能登半島震災を時々意識してもらいたい。安曇野とのご縁をつないでいきたい」と語る。