連載・特集

2024.8.7 みすず野

 連日の猛暑は、簡単におさまりそうもない。寝苦しい夜もある。きょうは「立秋」。「まだ暑さは厳しいころだが秋の気配を感じるというのが立秋」で「それを感じさせる代表的なものが風である」と『俳句歳時記』(角川書店)はいう◆空の青さや雲の形に秋の気配を感じることはあるが、まだそのような風は吹いてこないようだ。当分の間、この厳しい暑さが続くのだろう◆イラストレーター、エッセイストの平野恵理子さんは「スイカのよろこびを」というエッセーで「あのでっかいスイカらしいまん丸のスイカは夏にしか見られない。夏のスイカは大きさといい、外側の模様といい、夏のフルーツの王様だ」と断定する(『和ごころ暮らし』ちくま文庫)◆当地には波田というスイカの名産地がある。今夏もその味をたっぷり楽しんだ。この暑さが続くうちは、冷やしていただきたい。「スッパリ割れば真っ赤な断面。大きく切ってみずみずしいところをわしゃわしゃとかぶりつく。こういう果物が、夏に実るという神の思し召し」なんだと。スイカというと赤い色で描かれるが、子どもの頃にはクリーム色もあったなと思い出した。