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ウォルター・ウェストンの常念岳登頂8日で130年 山小屋の4代目が奮闘

常念小屋を守る山田雄太さん(左)と若手スタッフ

 日本アルプスを世界に紹介した英国人宣教師ウォルター・ウェストン(1861~1940)が明治27(1894)年に北アルプスの常念岳(2857メートル)に登頂してから8日で130年となる。修行や狩猟などに限られていた登山を、一般の人の楽しみとして伝えた功績は大きく、現在の登山ブームの礎になっている。
 宿泊だけでなく登山道整備、救助活動など山の安心・安全を支えているのが山小屋の存在だ。山頂直下の鞍部にある常念小屋(定員186人)は、大正8(1919)年に山田利一が創業。現在は4代目の雄太さん(24)が運営に奮闘している。
 松本工業高校卒業後、北アルプスの涸沢ヒュッテ(松本市安曇)で4年間修業した。「登山道整備、救助の基本技術、山の厳しさをたたき込まれた」という。
 一昨年から常念小屋で働き、まず力を入れたのが登山道の整備だ。ウェストンもたどった安曇野市穂高牧の一ノ沢登山口から登ると、急登の木のはしご、沢に架かる丸太の橋がしっかり整っている。
 7月からは夜に1時間半、「BAR常念」を開設し、地酒やクラフトビールも提供している。「お客さんとの団らんを通し、地元の魅力も伝えたかった」と話す。「みそパン」「豆板」など地元の名物も販売品目に加えた。
 スタッフは20代を中心に総勢約10人で、和気あいあいの雰囲気で働いている。雄太さんは「お客さんもスタッフも明るく小屋で過ごし、いい思い出を作ってもらいたい」と語る。