2024.8.6 みすず野
この夏、戦後79年。戦争の時代を体験し、その記憶がある人たちは年々少なくなっていく。中信地区などで当時の様子を知る人たちに話を聞き、次の時代へと語り継ごうという企画が、小紙で1日から始まった。語られる一言一言を聞き漏らすことなく記し、紙面に刻んで読者に届けることが大切な役割だと自覚する◆作家の野坂昭如さんは、平成27(2015)年12月、85歳で急逝した。その4カ月前「8月は、広島、長崎に原爆が落とされた月」と月刊誌の連載で書いた。「これが玉音放送へとつながっていくわけだが、その前日、14日にも空襲はあった」と続く◆さらに「敗戦の色濃くなるどころか、敗戦必至となってもなお、特攻隊として若い命を奪われた人もいる」と。「8月だけではないにしろ、やはり、この月、戦争について考えざるを得ない」と記す。12年前に病に倒れ口述筆記で作家活動を続けていた。亡くなる数時間前まで(『絶筆』新潮文庫)◆きょう広島原爆忌。広島市で平和記念式典が開かれる。中信地区からも中学生が派遣されている。現地で見聞きしたことや学んだ体験を、ぜひ親しい人たちに伝えてほしい。