政治・経済

生活困窮者の居住支援手厚く 松本市が県内初の取り組み 家探しに同行、見守りも

 松本市は今月、安定した住まいを持たない人が地域に定着し生活の安定を図るための「地域居住支援事業」をスタートした。住居の確保は就職の際に重要な条件であり、居住支援に力を入れることは生活困窮者が抱えるさまざまな課題を解決する一歩になる。改正生活困窮者自立支援法が来年度に施行されるのに先駆け、県内市町村で初めて取り組みを始めた。

 同事業は改正法で努力義務となる「一時生活支援事業」の二つの柱のうちの一つで、住まいを持たない人が不動産業者を訪れる際に同行し、住まいが決まった後の見守りや地域とのつながりの構築まで支援する。一時生活支援事業のもう一つの柱「シェルター事業」(宿泊場所や食事の提供、衣類など日用品の支援)は市はすでに実施しており、今月からの取り組みでさらに踏み込んだ支援をする。
 住み込みで働いていて失職した人や高齢者、DV被害者など、住居をなくした人からの生活保護相談件数は元年以降、年30人強で推移している。引きこもりなどで相談窓口に来られない人もいることから、実際はもっと多いとみられる。新型コロナウイルス禍が激しかった2年は43人、3年が37人と特に多かった。
 地域居住支援事業は、市内を拠点に生活困窮者の支援活動を続けているNPO法人とまり木(浅間温泉1)に委託する。委託費用は694万円となる。市生活福祉課は「住まいの確保は生活再建の第一歩。社会的孤立を防ぐためにも、入居後の支援に力を入れていきたい」と話している。