2024.8.16 みすず野
京都市円山公園音楽堂で、昭和50(1975)年7月に開かれた第3回宵々山コンサートで、司会の放送作家・永六輔さん(1933~2016)は歌手としてもステージに立った。昭和20年8月15日は「暑い日でした」と話し始める(CD「同コンサート」)◆現在の小諸市に学童疎開していた小学校5年生。敗戦後「日本は神の国」などと書かれていた歴史の教科書を墨で塗りつぶす。「子供心に強く印象に残り忘れられない」と語る。そして「僕の娘は高校生と中学生。歴史の教科書を見ると、僕らが塗りつぶしたことが初めにまた載っている」◆「歴史は常に誰かに勝手に書き直される」と会場を埋めた聴衆に語りかけ「伝説の重みを感じます」と続ける。自ら作詞した「愛の神話」(作曲・神津善行さん)を「歴史は滅びても歴史は滅びても伝説は滅びない」「歴史は書き直せても伝説は書き直せない」「伝説を伝説を伝説を伝説をつくろう」と歌い上げる。小沢昭一さん、野坂昭如さんと「中年御三家」として活躍していた頃だ◆新たな戦前の始まりではないかと心配する声が聞かれる戦後79年の夏。この歌を誰かに歌ってほしい。