政治・経済

塩尻市青少年育成委員 不在区も 本年度 区推薦を任意に

 塩尻市で青少年の健全育成や非行防止に当たり、各区の推薦で市長が委嘱する「青少年育成委員」の人数が本年度、従来の65人から60人に減った。区長の負担軽減のため、区推薦による選出を任意(選択制)としたことに伴う。母体組織の市青少年育成委員協議会が時代に即した活動を模索中で、民間ボランティア活動のあり方が問われている。

 委員は、区の推薦で全66区から65人(片丘南熊井、中挟は二つの区で1人)が選ばれてきた。任意とした本年度は大門、塩尻東、宗賀で不在の区が生じた。「子供がいない」との理由でやめた区もある。
 委員の任期は2年で有償奉仕だ。地域別に編成する14班体制で、地区の実情に応じた見守りや巡回活動、学校と連携したあいさつ運動、情報モラル教育の啓発推進をしている。
 昭和50(1975)年12月に青少年補導委員として活動が始まり、街頭補導や有害環境排除に努めてきた。屋外で子供を見る機会が減る中、令和2年4月から補導より見守りを重視し、現行の名称に変更した。市青少年育成委員協議会要綱は委員を「100人以内」としている。過去には保護司会など各種団体が参加したが、今は地区委員のみだ。
 青少年育成委員は過去の区長会調査で「必要性を感じない役職」の一つに上がった。市青少年育成委員協議会長の薄田利秋さん(79)は「各区から人が出て、きめ細かく子供たちを見守れるのが望ましいが、地域の事情や働き方の効率化など時代の流れもあり悩ましい」と話す。
 薄田さんは7年前から毎週の小中学校一斉下校時に、広丘堅石の通学路に立つ。「子供との交流の場になる貴重な機会で価値がある」と感じている。委員数が減ったことを踏まえ「子ども会育成会など他の関係団体と協力して子供たちの安心安全をカバーしていきたい」と語る。
 インターネットを介した犯罪被害やいじめの深刻化など見えにくい問題もある。事務局の市社会教育スポーツ課は「多角的な対応が求められる」としている。